保存期慢性腎不全の治療と現状

保存期慢性腎不全の治療

 

日本における保存期慢性腎不全の治療の現状が、私見ではきわめて遅れていて不十分です。最近三年間に訪れた153人の慢性腎不全の患者さんに、それまでの治療内容を聞いてみると「食事療法の指導を受けたことがある」人は102人と多いのですが、その指導内容をみると、たとえば蛋白摂取量については、蛋白0.58グラム/標準体重㎏をした回った、栄養学を無視した厳しすぎる蛋白制限の指示が102人中61人に行われていました。
また、153人中52人には、受診した時点で明らかな体重減少がみられました。
この患者さんたちはすべて、体重減少を食事療法がうまくいっている証拠だと思っていました。腎不全の食事療法中にみられる体重減少は、ほとんどすべて栄養障害によるものです。
食事療法のなかで蛋白制限が厳しすぎると、多くの患者さんはただちに栄養障害を起こし、主に筋肉量の減少による体重減少が生じ、日常の簡単な動作も不自由になります。これに加えてこの栄養障害が腎不全の進行にさらに拍車をかけることになります。
蓄尿の一部を送り、遠隔指導を受ける患者さんは全国の38都道府県に及んでいます。
どこの地方でも一様に先に述べたような状態で、全国おしなべて間違った食事指導が横行しているようです。これでは食事療法についてまったく指導しないほうがよいくらいです。